すべてのホッケー選手は、食事の重要性は知っていますが、何をどう食べればという観点ではどうですか?
「特に試合前の場合は?」
この記事では、ホッケー選手の栄養補給のタイミングの背後にある「なぜ」の理由を簡単に解説し、かつ「どのように」もあわせてみていきたいと思います。
アイスホッケー 選手に求められる栄養管理とは
一般的な健康のための栄養補給や食事は、アイスホッケー選手にとっても関連性はありますがベストなものではないようです。
健康に重点を置いた場合の目標は、
・十分な睡眠を取る
・ストレスレベルを下げる
・毎日の食物摂取量を意識している
・野菜を摂取する
・果物を1日に1-2回摂取する
・食事ごとにタンパク質源を摂取する
・すべての食事で満腹度80%の食事
時間はかかりますが一貫してこれらを継続して行うことで、健康を維持することは可能です。
しかし、アイスホッケーアスリートはただ健康であれば良いというわけにはいきません。
ホッケー選手は、定期的に練習やトレーニング、試合を行い、かつ競技そのものが激しい身体活動に関与しています。
ホッケー選手の求められるフィジカル
・毎週、リンクと陸上の両方でたくさんの距離を走る
・体重、筋肉量、パフォーマンスを上げる
・体力を残す必要がある
・キャリアの寿命を延ばすために高い健康状態にする必要がある
・できるだけトレーニングやゲームを欠場しないために、病気にならないような免疫力をつける
他にも挙げきれないほどたくさんの要素が必要です。
これらの要素をすべて保つには、適切な栄養戦略が必要であり、その戦略は最適な結果が得られるように適切に調整する必要があります。
タイミングが重要なのはなぜか。
タイミングは、消化と吸収率が何よりも重要なためです。より速く消化するタンパク質や炭水化物の食事を選択し、プレーが開始されるタイミングで血流に栄養源が入るようにするのが理想的です。
ホッケー選手のための試合前の栄養面の重要項目
・パフォーマンスを高める食品の選択
・パフォーマンスを低下させる食品の使用を避けたい
・体水分量を最適なレベルに保つ
・筋肉分解を防ぎ筋肉量を維持する
・試合後の回復期間を早める
これらを行うために、主にタンパク質と炭水化物の質の良い栄養源を摂取し、特に試合前は脂質の摂取を極力少なくすることが最善です。
脂質は単純に「からだに悪い」ためではなく、脂肪が吸収速度を遅くする消化生理学の観点からの理由です。タンパク質と炭水化物だけのものを摂取した時は、蛋白質、炭水化物、脂質がたくさん入っている食事の時と比べてはるかに速い速度で血流に到達します。
誤解しがちですが脂質は日々の生活全てにおいて悪いことではありません。体の多くの重要な機能を維持するために、私たちの食生活には質の良い脂質が必要です。ここで問題となるのは、食事中の脂質が多すぎると消化が遅くなり、栄養素が時間が経たないと血流に入らならないためです。消化が遅くなると食べ物は腸に居座ってしまいます。
脂質はホッケー選手に必要な主な燃料源としてもあまり役に立ちません。間違いなくアイスホッケーは解糖系のスポーツです。(解糖系とは糖分を分解しエネルギーに変えること)
人間のエネルギーシステム、そしてアイスホッケーという競技の性質上、パフォーマンス維持のために食事での脂質よりも炭水化物の使用を優先します。
少し難しい話でしたが、これらを踏まえて「どのように・何を」についてみていきましょう。
ゲーム前のタンパク質摂取
ゲームの前にタンパク質を摂取することで得られるメリット
・ゲーム後の筋肉痛を軽減する
・血中アミノ酸などのレベルを保つ
・筋肉の成長を促す
・運動中の血糖値を安定に保つ
科学的な話は割愛しますが、もっと詳しく解説も必要でしたら記事にしていきます。
理想的には、男性なら、35-45gのタンパク質、女性なら25-35gのタンパク質を摂取します。サプリメントではなく、食品全体の形でこれを消費するのがベストです。(ここでのグラム数は食品に含まれているタンパク質量ですので全体量ではありません。)
肉、卵、低脂肪乳などのものが手に入りやすい選択肢となります。
ゲーム前の炭水化物摂取
ゲーム前に炭水化物を摂取することで得られるメリット
・神経系と筋肉系の両方にエネルギーを提供
・回復プロセスに劇的に役立つ
・筋肉と肝臓グリコーゲンの両方を維持し、持続力・持久力を保つ。また、脳に「十分に栄養を与えられた運動選手」と伝え、筋肉の成長と修復を知らせるために必要な細胞内シグナル伝達プロセスの助けとなる
・インスリン分泌を刺激し、タンパク質と組み合わせると、長期間の高強度活性の間に筋肉の成長と筋肉の損失の両方の助けとなる
試合が約1時間続く場合は、男性の場合は35-45g、女性の場合は25-35gの炭水化物で十分です。(タンパク質同様に全体量ではないのでご注意ください。)
しかし、90-120分以上続くゲームであれば、男性の場合は70-90g、女性の場合は50-70gの炭水化物を摂取することをお勧めします。
基本的に1時間だけのゲームであれば、タンパク質に対する炭水化物の割合は1:1で十分です。しかし、長期間のゲームでは、充分にエネルギーを供給するために、タンパク質と炭水化物の比が2:1に近づきたいと考えています。
アイスホッケーのゲーム前の食事例
上記のすべてを念頭に置いて考えてみましょう。
ここで「何をどのように食べたらいいのか」という問題が出てきます。
実際はそれぞれのレベルや運動強度、試合時間に応じて、食事は自分の好みに合わせていつでも切り替えることが可能です。下の例は私が個人的に考えたアイスホッケー選手のために用意した選択肢の例に過ぎず、決して「こうでなければいけない」ということではありません。
また、上記のとおりですが、ゲームが始まる前の1~3時間前にこの食事を食べるのが最善です。
例1
玄米1-2杯*
野菜
*試合が1時間未満の場合は1杯、90-120分以上の場合は2杯。
例2
サツマイモ170g
お米1杯*
野菜
* 1時間のゲームであれば米を取り除く。
例3
1~2束のパスタ*
野菜
*試合が1時間未満の場合は1束、90-120分以上の場合は2束。
例4
1杯の米
ブルーベリー1カップ*
野菜
* 1時間の試合の場合は、ブルーベリーを取り除く。
注:女性のホッケー選手は、上のすべてのサイズを半分にカットする必要があります。
まとめ
一日の終わりに食べる食事量は、ゲーム前の食事よりもはるかに重要です。これらはまた別記事にしますが、プレー前の食事をしっかりと管理できるようになればパフォーマンス向上と回復を促進するのに非常に役立ちます。
少し難しい内容の面もありましたが、ぜひ参考にして、これからのアイスホッケー生活に活かしてみてください。
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